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◯初めての方にお勧めの記事!

綾辻行人著「どんどん橋、落ちた」感想(ネタバレ含む)

~はじめに~

 本日ご紹介するのは、綾辻行人著「どんどん橋、落ちた」である。綾辻先生と言えば「館シリーズ」や「囁きシリーズ」が有名だが、本作はこれらのシリーズのように重厚なストーリーではなく、気軽に楽しみながら読める短編集となっている。推理小説は読みにくくて苦手という方にもナゾナゾ本感覚で読んでいただけるので、この記事を読んで興味が湧いた方はぜひ読んでいただきたい。

 

以下、ネタバレを含みます。

未読の方はご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                          

 

 

 

 

 

 

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~あらすじ~

「どんどん橋、落ちた」

年末の忙しい時期に作家・綾辻を訪ねてきた青年U。見覚えはあるのだが誰なのかは思い出せないが、懐かしい感じを覚えた綾辻は彼を招きいれた。そして彼が持って来たミステリ小説を読んであげることに。軽い気持ちで読み始めたが、意外に難しいミステリに苦戦を強いられる。答えは予想外の所にあって・・・。他4作

 

 

 

 

 

 

~おもしろいポイント~

 

①なぞなぞ?ミステリ?

始めに述べたとおり、この短編集にまとめられた作品はギリギリミステリと言えるが、胸を張ってミステリだとは言えない少々ひねくれたものばかりで、感覚としてはなぞなぞに近いかもしれない。ミステリファンにとっては少々アンフェアだと思うところもあるかもしれないが、読み物としては非常に楽しい。例えば第4作品目の「伊園家の崩壊」は某国民的アニメのパロディとなっており、あの団らん家族にあるまじきドロドロの展開へともつれ込む。知らなければただの軽めのミステリだが、パロディだと言うことを知っていれば一気に面白い読み物へと変化する。その他の作品も、通常のミステリとは一味違った展開・真相が待っており、綾辻先生の遊び心が感じられる作品となっている。

 

②裏事情を知っていれば面白さ倍増

前述の「伊園家の崩壊」もそうだが、この短編集の作品にはただ読んだだけでは知ることができない、裏事情やパロディが多くちりばめられている。私も初めて読んだ当初は知らなかったが、最初に登場するU君の正体や登場人物の名前の由来など、後で調べて分かると思わずクスッと笑ってしまう設定が随所にある。一通り読んだ後は、それらを調べて知った上でもう一度読んでみると面白いかもしれない。

 

 

③先入観の認識、綾辻先生の罠

ミステリでは定番だが、本作品では人の先入観を逆手に取り読者を騙しに来る。この手法は綾辻先生の得意とするところだが、この作品では特にその傾向が強い。自分が普段いかに先入観で物事を判断しているのか思い知らされることだろう。また、読み進めていくと今度こそ騙されないぞと構えて読むのだが、そこは流石綾辻先生。見事に読者の慣れまで想定してを張り、読者の予想を裏切ってくれる。あなたもぜひ騙される気持ちよさを体験してみて欲しい。

 

 

 

 

 

 

~最後に~

本作は綾辻先生の遊び心が形となった作品と言える。読まれる方もぜひ、遊び感覚で読んでみていただきたい。はじめに書いた通り、普段ミステリを読まれない方にもおすすめで、短編集なのでスキマ時間で読むこともできるため、お気軽にお楽しみいただきたい。

 

 

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