おもしろいゲーム・推理小説紹介

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【追記】ゲーム「スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE」を語る

~はじめに~

 本日は、2022年10月27日に発売されたスターオーシャンシリーズ最新作「スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE」について、両主人公での本編クリア、隠しダンジョン制覇・トロフィーコンプリートまでプレイしたので感想を述べたいと思う。

 

 

 

            

 

 

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スターオーシャンシリーズとは

スターオーシャンシリーズは1996年に第一作が発売されたトライエースが主に開発を務めるSFファンタジーRPGである。これまでにナンバリングタイトル5作と外伝1作、その他関連書籍やソシャゲが展開されており、25周年となる国産RPGとなっている。ゲームの特徴などについては下記の記事やサイトをご参照いただきたい。

www.jp.square-enix.com

 

 

プレイした感想

【ストーリー】 

一言でまとめると濃いストーリーだった。スターオーシャンシリーズはファンタジーとSFとを融合させたストーリーが特徴であるが本作では前半はファンタジー寄り、後半はSF寄りになっておりスターオーシャンらしさがよく出ていた。設定や伏線もきちんと考えられており、ファンタジー好きもSF好きも楽しめて、クリア後にモヤモヤしないスッキリしたものだった。特にSFの設定については細かく考えられておりこれこそがスターオーシャンだと嬉しく思った。一方で物語のきっかけとなる「遠く離れた惑星にある同じものが存在する理由」については敢えて答えを明示しておらず、シリーズファンにはあれこれ考察する楽しみを残していてくれている(続編で明らかになるのか?)。

 細かい点を述べていくと、各所にシリーズ過去作を彷彿とさせる設定や展開があり、シリーズファンとしては懐かしさを感じつつも全く新しいゲームをプレイできる喜びを感じた。例えば、不治の病が流行しそれを治療するために山に薬草を取りに行く様子はSO1を彷彿とさせ、ダブルヒーローシステムや冒頭の主人公同士の出会いの場面、兵器を完成させるのに必要な鉱石を遺跡に取りに行く場面などはSO2を思い出した。また、先進惑星の人間が未開惑星の兵器完成のために技術支援し国家間戦争を勝利に導く様子はSO3を感じたし、機械生命体のコロニーでの情報収集や敵が攻めてくる展開はSO4のEnⅡのことを思い出し、航宙艦同士の戦闘や先進惑星の未開惑星への非人道的な介入などはSO5を彷彿とさせた。上記の通り各シリーズ作品の良いところをうまく組み合わせて全く新しい作品を創り上げている印象で、まさにシリーズ25周年に相応しいストーリーだったと思う。

 

【クリア後のおまけ要素】

・隠しダンジョン

 クリア後の隠しダンジョン・やりこみ要素についてはトライエース作品の醍醐味で、本編と同じくらい楽しみにしているが、前作・前々作では質も量もユーモアも足りていなかった。シリーズ最高のクリア後ダンジョンだったのは個人的にはSO3DCであり、本作もそれを超えることこそなかったが、ユーモアについては満足で量があれば満点だった(オマケ要素なので本編に集中してもらえたなら構わないが)。詳細はネタバレになるので控えるが、シリーズファンが非常に嬉しくなるような25周年らしい内容だったと思う。

 

・ゲーム内ミニゲーム

 ゲーム内ミニゲームであるSOA(ソーア、スターオーシャンアナムネシスの頭文字より)については初めは難しそうに感じたが、実際やってみると非常に簡単でNPC相手だと少し物足りないが、誰でも楽しめるよう良く練られたゲームだと思う。ソーアの駒は強力なファクターを持ったアクセサリーにもなるという点が良く、ソーアのためだけでなく単純に強力なアクセサリーを収集する目的で駒を集めることができた。

 

・プライベートアクション(PA

 シリーズ恒例のプライベートアクションについては大満足だ。ダブルヒーローシステムのためそれぞれの主人公ごとに異なる内容であったり、同じPAでも反応が異なるなど趣向が凝らされていた。PAの数も多く、ユーモアや意外な事実(断言されていない部分もある)、色々なパーティーメンバー同士の絡みが見られてキャラに愛着や親近感が湧き、PA本来の役割も十分果たしていた。ただ聞くだけでなく返答を選択肢から選べる恒例のシステムも健在でキャラの気持ちになって楽しめた。一応選択によって感情値が変化し個別エンディングが変わる仕様だが、そこはあるアイテムで調整可能なので気にせず好きなものを選べるのもよかった。

 

・アイテムクリエイション

 こちらもシリーズ恒例のアイテムクリエイションは、GALAXYでは本編クリアまではほとんど使用する必要がなかったが、より上の難易度や隠しダンジョンでは必須とも言えるくらい強力な武器や防具を作り出せる仕様で、いい感じにゲームバランスを調整していたと思う。アイテムクリエイションの難易度自体はSO2と同じくらいでSO3よりは遥かに簡単なものの、強力な物には莫大なコストが必要であり、その為に敵を倒しまくるといった流れはSO3を思い出して楽しかった。といっても、本作ではスキルやアイテムをうまく使えばレベル上げや資金稼ぎは楽にできる印象で大変になりすぎないよう調整されていたと思う。

 

 

【システム】

・フィールドアクション

 まずフィールドアクションについては今回初めてDUMAという機械生命体によって一定の距離空中を飛んで移動できるようになった。一見単純そうなシステムだが、フィールドの作り込みを縦にも広げる必要があり制作側の苦労は計り知れない。単にこのシステムを導入しただけでなく、これを使ったギミックや探索要素、さらにストーリーとの融合まで本当によく使いこなしていると感じた。レビューによっては飛べる距離や角度に不満も見られるが、このくらい制限されることで探索の難易度が調整されていると思われ、個人的には不満はない。宝箱をサーチするシステムも範囲が狭いなど言われているが、個人的にはプレイヤーを補助しつつも探索の楽しみを残してくれているのだと感じた。

 

・画質、デザイン

 画質についてはPS4でプレイしたということもありややカクつく場面も見られたが、イライラするほど致命的なものではなかった。イベントシーンなどは美麗で思わず見入ってしまうほどだ(このクオリティで過去作リメイクしたらとんでもないことになるだろう)。個人的には航宙艦の戦闘シーンはSO3くらい細かく描いてほしかったが、政策の手間を考えると仕方ないだろう。キャラデザインは前作、前々作より違和感は少なく万人に受け入れられそうでありつつ個性を持ったキャラが出来上がっていた。CVは始めレイモンドの声に違和感があったが、プレイしているうちに違和感は無くなった。

 

・メニュー画面

 メニュー画面の操作性や設定は本作で一番残念な部分かもしれない。タブの切り替えが方向キーでなくLRであり1と2も入り混じっているため未だに間違えることが多い。またパーティーメンバーが一度抜けるとアクセサリーが全て外されるという設定もメンバーが激しく入れ替わる本作では致命的だ。装備はソートで並び替えられるものの、同じアイテムが全て別に表示されており(ファクター違いなどもあるため仕方ないのかもしれないが)、目的のものを見つけるのが大変だ。せめてワンボタンで最強装備(防御力と攻撃力が最大)になる過去の仕様があればよかったのだがそれもない。スキル設定・習得画面も少し戻らないとキャラの切り替えができないないなど地味に不便なことが多い。この辺りの不満は人にもよるかも知れないが、レビューではよく聞かれる声であり、次回作では改善されていることを期待する。

 

・戦闘システム

 戦闘システムはDUMAによる高速移動と方向転換によるブラインドサイト通常攻撃が無く全てAPを消費して攻撃を出すシステムなどこれまでと大きく異なるもので、シリーズファンの私からするとやややりづらい面もあったが、なれると爽快で売り込み通りシリーズ最速の戦闘を楽しめている。欲を言えば敵に攻撃されて怯むと最大APが減る仕様について、ガードレスを持っているキャラと持っていないキャラで判定を変えてほしかった。ブラインドサイトはザコ敵や特定の敵では非常に有効だが、使えない敵も多くこれ一辺倒にはならないよう工夫されていた。

 

・トロフィー要素 NEW!

 まず宝箱コンプリートについて。このトロフィーはクリア後ダンジョンを除く全242個の宝箱をすべて回収するというもの。本ゲームではDUMAによる宝箱サーチシステムもありそんなに難しくなさそうだが、いくつもの要素が絡み合って微妙に取りづらくなっている。まず一つは宝箱サーチにかからない・かかりにくい宝箱が存在すること。また、荷物がいっぱいだと宝箱の中身が回収できないこと、そしてPS4だと宝箱が残りいくつ残っているかわからないためゴールが見えないことだ。私ははじめレイモンド編でコンプリートを狙ったが、ネット情報を見ながら何回確認して回ってもトロフィーを獲得できず、最終的にはレティシア編で改めて回収して回ってようやく獲得することができた。PS5では宝箱の回収数がわかるらしいがPS4でも何とかしてほしかった。

 また、次に大変だったのがアイテムクリエイション90%以上である。こちらも残りいくつか確認できないうえに本作では過去作同様アイテムクリエイションで作れるアイテムの種類が非常に豊富で大変だった。武器や防具は購入したものと混同してしまうため2個ずつ作成し、一番大変だったのはポーンの駒である。そもそも作成確率が非常に低いうえに細工を行うキャラクターによってもできやすさがあるらしく時間的にも資金的にも莫大になってしまった。とはいえクリアした今となってはやりがいがあって面白かったと思う。

 そのほかのトロフィー要素についてはレベル上げやアイテムクリエーションを駆使すればそれほど難しいものではなく(通常難易度でプレイした場合だが)、それほどトロフィーコンプリートは難しくなかった印象だが、やりこみ要素が物足りないといった感じもなく、ちょうどよかったのではないかと思う。

 

・プライベートアクション回収 NEW!

 トロフィーコンプリートが終わったのでまだ回収しきれていないPAの回収を行った。全て回収できているかはわからないがレイモンド編・レティシア編ともに相当数を確認した。まずその膨大な種類に驚かされ、そして全てフルボイスということに驚愕した。声優の皆様、収録お疲れさまでした。いくつかのPAは過去のPAと連動して発生するような内容で、すべて見てみたいというファン魂を刺激された。また本作では「うまい棒」を主題としたPAも非常に多かった印象でPAならではの本編とは関係ないお遊びが非常に面白かった。そして輸送艦アルダスの艦橋ではクロエに話しかけると何度もPAが発生し、開発者側がクロエに非常に思い入れがあるのがよくわかる。内容的にも濃く、面白く拝見させてもらった。 

 

・ストーリー考察 NEW!

 前述のとおり、本作では最大の謎であるなぜレティシアの故郷の星とレイモンドの故郷の星に同じ紋章があったのかということが謎のままにされている。この点についてはファンの方々が各種考察をされていることと思うがここでは個人的な見解を述べたいと思う。

 まず本シリーズでは回復の紋章術は37億年前に人工惑星へと移住したネーデ人しか使えないと言われている。もちろん過去作では回復紋章術を使うキャラが毎度登場するのだが、彼らは祖先・もしくは遺伝子にネーデ人と何らかのつながりを持っているとされている(ネーデ崩壊時に人工惑星に移住した以外にもネーデ人が宇宙中に移住した)。このことから鑑みるに、本作の舞台であるアスター4号星で回復の理術(=紋章術)が使われているのはネーデ人の血を引いているためではないかと思われる。実際、理術発祥の地であるニルベスの族長であるマルキアネーデ人の特徴である尖った耳をしており、ネーデ人と現地住民の末裔なのではないかと思う。そしてニルベスの遺跡奥に眠っていた紋章(アスター4号星ではこれを解読して紋章術が広まった)と、レイモンドの故郷であるベグアルドで見つかり、ベグアルドが紋章動力で銀河連邦を凌駕するに至ったいわゆるオーパーツともいえる紋章が同じであったことは、両者がともにネーデ人が残したものであるからではないかと思う(もしくはFD人が残したもの?)。

 さらに突っ込むと、本作から120年余り後に銀河連邦ではクリエイションエネルギーという莫大なエネルギーが実用化されるのだが、これはベグアルドの紋章動力技術が利用されているのではないかと思う(本作ではベグアルドは銀河連邦への加盟を断っており、そのため銀河連邦では100年以上先に実用化された?)。ネーデ人はクリエイションエネルギーや時空転移シールドの技術を持っていたようであることなどから何か関係がありそうだと感じている。何も確証や証拠はないが次回作などでこの辺のテーマが扱われたら面白い。

 その他少し思ったこととしては、SO3で登場するアールディオンという銀河連邦に勝るとも劣らない軍事惑星国家があるのだが、実はこのアールディオンは星そのものが一つの生命体だとされており(アールディオン人は母星という核を中心に生まれた一つの生命体であり、彼らは本星の一つの意思によって動かされていると辞書に書かれている)、これは本作で登場した機械生命体スコピアムや総統派スコピアムの残党と何か関係があるのではないかと勘繰ってしまう。

 また機械生命体のような意思を持った存在としては、SO4で登場した「Ex」が思い出される。スコピアムコロニーの仮想空間での情報収集の描写などもExと出会い会話した時の様子を思い起こされるような流れになっており、実はExもスコピアムの一種なのではないかと考えてしまう。もちろん関連を裏付ける記述は全くないが、全く無関係のものをシリーズ中に似たような描写で登場させることはないと思うので何かあるのではないかと期待している。

 また、冒頭のシーンやPAの中でクロエが星占い(卜占)に凝っているという会話が聞かれる。一見意味のなさそうな描写ではあるが、SO3をプレイ済みの人からすると、星が騒がしいという発言や星の動きから未来を占うというのは、実はFD人による干渉により微妙に生じた変化を彼らが感じ取った結果なのではないかと考えてしまう。

 以上、何の確証もなく、またより深く考察されている人からする見当違いな推測ばかりかもしれないが、個人的に思ったことを書き留めてみた。

 

 

~最後に~

 総合的には25周年を飾るにふさわしい出来になっていたと思う。新規のファンを意識しつつもシリーズファンのことを考えて各所に遊び要素をちりばめている点が個人的には非常にうれしい。惜しい部分も何か所か見られたがこれらは次回作で改善できれば問題ないだろう。次回作につなげるためにも多くの人に手に取っていただきたい作品だ。

 

 

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