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◯初めての方にお勧めの記事!

島田荘司著「ロシア幽霊軍艦事件」感想(ネタバレ含む)

~はじめに~

 本日ご紹介する作品は、本格ミステリ界の巨匠・島田荘司著「ロシア幽霊軍艦事件」である。本作品は島田氏の有名なシリーズである名探偵・御手洗潔を主人公とする作品である。御手洗潔シリーズとしては、島田氏のデビュー作でもある「占星術殺人事件」などが有名であり、本格ミステリとしてはそれらの作品の方が完成度は高いように思われる。しかしながら、本日ご紹介する「ロシア幽霊軍艦事件」の方が私は好きだ。本記事ではその魅力を語っていきたい。

 

以下、ネタバレを含みます。

未読の方はご注意下さい

 

 

 

 

 

 

 

                    

 

 

 

 

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~あらすじ~

ある日御手洗の元に届いた一通の手紙。そこにはある老人の死ぬ間際の言葉が綴られていた。そこに登場する箱根・富士屋ホテルに飾られている芦ノ湖に浮かぶロシア軍艦の写真。なぜ、どのように芦ノ湖にロシア軍艦が現れたのか。その謎が解き明かされた時、壮大な歴史の謎が明らかとなる。どんなに壮大な謎も、御手洗潔の前ではかくも簡単に、鮮やかに解き明かされてしまうのか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~面白いポイント~

①殺人事件でないにもかかわらずそれ以上に壮絶なストーリー

 作品の冒頭でも述べられているとおり、この事件は誰かが死んだり、死の危険にさらされたりする鬼気迫る物語ではない。にもかかわらず、御手洗潔がこれまでに扱ってきたどんな事件よりも興奮し、謎に満ちた作品なのである。ミステリの題材に殺人事件が多いのは、おそらく最もなじみのある非日常であるからだと思われるが、必ずしも殺人はミステリに必要ではないと言うことを改めて教えてもらった気がする。

 

 

 ②歴史ミステリと本格ミステリの融合

 この作品の軸に存在するのが、ロマノフ王朝の謎ロマノフ王朝やアナスタシアの謎は日本人が大好きで様々な作品で扱われてきている。実際の調査に基づいて何が起こったのか解き明かそうとする作品や、あり得ないであろうが面白い歴史をフィクションとして楽しむ作品など様々であるが、本作品では歴史的事実からギリギリあり得たかもしれない真実をフィクションとして見事に仕上げている。この作品での内容はもちろんフィクションではあるが、調査の結果や当時の技術的背景から起こりえた歴史とも言え、その点において提示された事実からあり得る解を導き出す本格ミステリ的要素を兼ね備えていると言える。そのため、歴史ミステリファンも本格ミステリファンもどちらも楽しめる作品となっている。

 

御手洗潔の華麗なる解決

 御手洗潔シリーズにおいて、御手洗潔の解決までの流れには大きく二通りある。一つは体調が悪かったり、忙しかったり、重要な情報がかけていたりして御手洗が中々真相にたどり着けず、真相が分かったときに「なぜこんな簡単なことに気付かなかったんだ!」と嘆くルート。そしてもう一つは、冷静沈着で常に我々の2手3手先の真相まで見極め、着実に裏を取っていって最後に「石岡君、簡単なことだよ」とさらっと真相を明らかにするというルートである。本作品は後者に分類される。しかしながら、世界中を舞台としたロマノフ王朝の歴史ミステリーを、1通の手紙と1枚の写真、ある頭のおかしな女性の話などとても壮大な謎を解き明かすには足りないと思われる情報のみで、さながら安楽椅子探偵のごとく解決していく様は見事としか言いようが無い。そして、解き明かされた真相を明らかにする方法もとても機知に富んでおり、興奮させられるものとなっている。

 

 

 

 

 

 

~最後に~

本文にも書いたが、本作品は本格ミステリと歴史ミステリが融合した作品である。本格ミステリは小難しくて苦手という方も、歴史ミステリは知識が無いからと敬遠していた方も、ぜひ一度読んでいただきたい。きっと、これまでのミステリの枠を破ってあなたを楽しませてくれることだろう。

 

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