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◯初めての方にお勧めの記事!

恩田陸著「麦の海に沈む果実」感想(ネタバレ含む)

~はじめに~

最近いろいろと忙しくて読書から離れていたが、久しぶりに読んだのでご紹介したいと思う。本日ご紹介するのは恩田陸著「麦の海に沈む果実」である。本作は幻想的なタイトルに違わぬ不思議な雰囲気を持った作品であった。その魅力について語っていきたい。

 

以下、ネタバレを含みます。

未読の方はご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                      

 

 

 

 

 



 

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~あらすじ~

陸の孤島にある特殊な学校に入れられた主人公。特殊な環境に戸惑いながらも慣れていこうとするが、彼女の周りで様々な事件が立て続けに起こる。徐々に心が衰弱していく彼女。そんな彼女に隠された真相とは・・。

 

 

 

 

 

~おもしろいポイント~

 

陸の孤島での事件

 本作は、陸の孤島のような場所にある特殊な学校が舞台となる。ここに入っているのは、英才教育を目的とした名家やお金持ちの子どもたちもいるが、多くは家庭の事情により半ば無理矢理ここに閉じ込められた子どもたちだ。入学の際に私物の持ち込みは厳しく制限されており、外との連絡は手紙のみという徹底ぶり。しかもこの学校では年に何人も生徒がいなくなっており、建前上は家の事情により出て行ったなどとされているが、疑う生徒は少なくない。そんな特殊で闇を抱えていそうな学校で死人が立て続けに出ることで、主人公をはじめとした生徒達はどんどん不安定になっていく。そして事件はどんどんエスカレートしていき、読者も不安を抱えながら読み進んでいくこととなる。

 

 

②個性的な登場人物達

 本作の登場人物達は、前述のように様々な背景を持っている。学校内では相手の家庭事情などを詮索してはならないという暗黙の了解があるが、それでも様々な噂が流れている。主人公と関わる生徒だけでも、とても頭の良い子や運動が得意な子、芝居が得意な子など様々な才能を持った人がいたり、だれだれの私生児であるとの噂が流れていたりなど様々だ。また、そんな生徒達よりももっと個性的なのが校長だ。校長は時には女性、そして時には男性の格好をして生徒達の前に現れ、そのどちらもが生徒達を魅了しファンクラブのような物ができるほど魅力的なのである。そんな個性溢れる登場人物達の中で、主人公のことは終盤までほとんど語られない。そして終盤、主人公は少し前から記憶喪失であるとのことが明かされる。この主人公の正体こそがこの小説のキーとなるところで、最後に明かされたその正体によって物語が完結するのである。

 

 

 

 

 

~最後に~

 本作は、ミステリーとはちょっと異なるが、謎や不安に満ちたドキドキを味わえる作品だ。冒頭はやや文章が読みづらいが、その後は読みやすくなるため、最初で諦めずに読み進んでいただきたい。

 

 

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