おもしろいゲーム・推理小説紹介

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◯初めての方にお勧めの記事!

ジェイムズ・P・ホーガン著「星を継ぐもの」感想(ネタバレ含む)

~はじめに~

 本日ご紹介するのは、ジェイムズ・P・ホーガン著「星を継ぐもの(原題"Inherit the Stars"」である。ホーガン氏のデビュー作であり、代表作であるこちらは、日本でも高い評価を受け大ヒット。1977年という割と昔に書かれたにもかかわらず、今でも非常に読みやすく、非常に精巧な文章となっている。存知の方も多いかもしれないが、SF推理小説好きとしては外せないので、ご紹介していきたいと思う。

 

以下、ネタバレを含みます。

未読の方はご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              

 

 

 

 

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~あらすじ~

ある日、月面で人間の死体のようなものが見つかった。しかし、様々な分野のエキスパート達が調査を進めていくにつれ、あり得ない事実が次々と判明する。最も驚くべきことは、この死体が約5万年も前に死亡していたと言うことだ!科学的な調査に誤りは無い。しかし一般常識からは明らかに矛盾する。この状況を説明すべく死体の遺品や周囲を調査していくが、謎は深まるばかり。この状況を説明できる仮説は存在するのだろうか・・・。

 

 

~おもしろいポイント~

 

①SF推理小説

この小説の最たる特徴は、SF小説であるという点だ。しかし、想像を絶するほど科学が発達した未来というわけではない。少なくとも月面に有人調査隊を送り込み、科学的な捜査ができるレベルである。そのため、SF小説でありながら、現代と同レベルの科学調査結果を基に読者は推理していくこととなるため、SFが得意でない読者にも非常に読みやすいものとなっている。1977年に発表されたとは思えないほど科学調査が本格的であり、今読んでも全く色褪せた感がないところがこの作品の素晴らしいところだ。

 

②スケールの大きさ

本作のもう一つの魅力は、そのスケールの大きさである。せっかく舞台が月であるのにこれを地球スケールに収めておく手はない。物語が進むにつれて推理のスケールはどんどん大きくなり、宇宙規模での推理が進んでいく。ただし、知識が無い方でも理解が可能なレベルでの話であり、話しについて行けないことは全くない。最後に辿り着いた真相(事実かどうか証明はできないが矛盾のない仮説)は途方もなくスケールの大きな話となるが、そこに辿り着くまでに登場人物の人々が様々な仮説を打ち出して想像を膨らませていくところにこの小説の魅力がある。

 

③人類のルーツに迫る!

物語が進んでいくと、専門家の間でも主張が分かれてくる。すなわち、月で見つかった死体が、地球の人類とどのような関係にあるのかである。調査の結果、月で見つかった死体は形態的には地球上の人類と何ら変わるところはないという事が明らかになった。しかし、5万年も前に地球の人類が月に行く技術を持っていたともとうてい思えない。では月でも生命が生じて進化した?大気がない月では不可能だろう。宇宙人?ではなぜ地球人と全く同じ形態を取っているのか。別々の星で進化した生物が偶然同じ形態を取ったのか。議論を重ねて行くにつれ、物語は我々人類のルーツに迫ることになる。

 

 

 

 

 

 

~最後に~

ご紹介してきたように本作品は、推理小説好きはもちろん、SF好き・歴史好き・科学好きなど様々な分野の人たちにとってとても魅力的な作品となっている。原題ハードSFの代表作であるこの傑作長編をぜひ一度お手にとって頂きたい。

 

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