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◯初めての方にお勧めの記事!

森博嗣著「黒猫のデルタ」感想(ネタバレ注意)

~はじめに~

本日ご紹介するのは、森博嗣著「黒猫のデルタ」である。本作はVシリーズと呼ばれる瀬在丸紅子を探偵役としたシリーズの最初の作品で、テレビドラマ化もされている人気作である。本日はその魅力を語っていきたい。

 

以下、ネタバレを含みます。

未読の方はご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                      

 

 

 

 

 



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~あらすじ~

ある規則に従って、毎年決まった日に殺人事件が起きる。次の標的と思われる、脅迫状を受け取った女性の相談を受け警護に当たった保呂草だったが、彼女は密室の中で殺害されてしまう。果たして犯人は?密室殺人のトリックは?

 

 

 

 

 

~おもしろいポイント~

 

①定番、されど見事

 本作では、密室殺人の謎を追いながら、次々に発生する事件で謎が深まっていくものの、その中のほころびから全ての真相が明らかになっていく。正直最初の密室殺人だけで文章中の内容から犯人を見出すことは不可能のように思われる。なぜなら登場人物の中に犯人がいて嘘をついているからである。もちろんこういった状況はミステリでは定番だが、本作ではその犯人がメインで活躍している探偵役であり、さらには共犯者までいるのだから、何でもやりたい放題である。語り手・探偵役が犯人という叙述トリックも定番ではあるが、探偵・保呂草はVシリーズで今後も登場して活躍する人物だけに、保呂草だと思っていた人物が偽物でVシリーズの他の作品を先に読んでいた方にはより驚きをもたらすだろう。

 

②黒猫のデルタ

 本作のタイトルである「黒猫のデルタ」。額に三角の模様があることからそう名付けられた野良猫で、登場人物達が住む街に暮らしている。本作では保呂草のデルタに関する発言がほころびの一つとなり、事件の解決に導く。また、6月6日にゾロ目の歳の被害者が殺害されるという本作のゾロ目殺人と、「クロネッカーのデルタ」を掛けている(詳しくは検索して下さい)。さすがにそこに気付いた方はほとんどいないだろうが、工学博士号を持ち、名門大学の助教授も勤めた作者らしい遊びである。

 

 

 

 

 

 

 

~最後に~

本作は、Vシリーズ最初の作品であり、本作を読んで面白いと思われた方はぜひ他のVシリーズも読んでみていただきたい。S&Mシリーズとはまた一味違った魅力が見つかるだろう。

 

 

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