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◯初めての方にお勧めの記事!

東野圭吾著「さまよう刃」感想(ネタバレ含む)

~はじめに~

本日ご紹介するのは東野圭吾著「さまよう刃」である。本作は18年前に発売された作品であるが、これまでに3回も映像化され、150万部を超えるベストセラーとなっている。そんな人気作をいまさらながら読んでみたので感想を述べたいと思う。

 

以下、ネタバレを含みます。

未読の方はご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                      

 

 

 

 

 

 











 

~あらすじ~

 妻を亡くし、男で一人で娘を育てる主人公。ある日娘は友達と花火大会に出かけるが花火大会が終わっても帰ってこない。心配になった主人公は娘の友達に電話をかけてみるがもう帰ったはずだとのこと。そして数日後、娘は遺体で発見される。娘の死の真相を知った男の行動は・・・。

 

 

~おもしろいポイント~

①終始胸くそ悪いストーリー

 娘は、強姦を繰り返していた若者集団に殺されてしまっていた。しかも犯人は強姦の映像をビデオで撮影したり、自殺してくれたらラッキーだと言ったりするなど所謂「くそ野郎」であった。父親は娘が蹂躙される姿を目にし、気が狂わんばかりである。東野圭吾らしい読みやすい文章ではあるが、若者たちの惨い行いや親の心理描写などは生々しく読んでいて胸糞悪くなるストーリーである。しかも最後まであまり救いはないのだが、東野圭吾特有の次々と先が読みたくなる文章であるため先へ先へと読み進んでしまう。

 

②正義の在り方

 本作では娘を惨たらしく殺された親が復讐を果たすべく行動していく。もちろん日本の法律で仇討は認められていないし、殺人は犯罪だ。しかし被害者の心情はそのような法律や倫理では計り知れない・・・とよくテレビでも言われているが、果たしてどれほどの人がこれを自分事として深く考えているだろうか。もちろん本作は小説で作り話ではあるが東野圭吾の描写力も相まって被害者の父親の心情が痛いほど伝わってきて、いったい正義とは、正しさとはどこにあるのだろうと本気で考えてしまった。使い古された議題ではあるが本作を読むと改めて考えさせられることだろう。

 

③ハラハラドキドキ

 本作では、復讐を誓う父親と加害者のみでなく、加害者の協力者にして密告者の若者や警察、さらに主人公以外の被害者遺族や子供を事故で亡くし思うところのある女性など様々な人物の視点から語られる。読者はそれらすべての情報を知っているが、この先どう言った展開になるかは読めず、終盤に差し掛かるほど父親が犯人を追い詰めて復讐を果たしそうになったり、警察も犯人に迫ったりと正にハラハラドキドキの展開である。こういった展開はまさに映像化に向いていると言え、3度も映像化されているのも納得である。

 

 

~最後に~

 本作は終始胸糞悪くなるストーリーではあるが、一気に読んでしまいたくなるような魅力のある作品である。内容的にも考えさせられる部分が多いので、ぜひ一度読んでみていただきたい。

 

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